このところ、試験的な取り組みを色々と行っている。例えば、先週開催した、XMLとXMLデータベース(XML DB)のプライベートイベント「NeoCoreサミット2010」では、初めてTwitterによる実況中継を行った。また、デジタル革命が起きている昨今、キャンペーンの一環として、iPadプレゼントキャンペーンを実施したが、確実にスマートフォンやタブレットの需要は今後拡大するにちがいない。
そこで、自社でも評価用にタブレットデバイスとしてiPadを 一台購入し、XMLデータベース「NeoCore」と連携させたソリューションを何か考える事が出来ないか、検証してみることにした。
XMLはご存じの通り、元々はドキュメントフォーマットであり、電子書籍のフォーマットとしても注目度が高い。サイバーテックはXMLをベースとしたマルチメディア・コンテンツを提供するためのデータフォーマットやデータベースを提供するITベンダーであるが、実際に活用されたマルチメディア・コンテンツはどのようなものなのか、見てみなければ始まらない。
ということで、世間を騒がせているiPadで読める電子書籍コンテンツとして、村上龍さんの「歌うくじら」を購入してみた。音楽を担当したのは坂本龍一氏とのことで、かなり力を入れた作品との下馬評もあり、発売当初から、とても楽しみにしていた。
購入後、アプリを立ち上げて読み始めてみると、童話チックなタイトルとは裏腹に、退廃的な未来を描いた内容のようで、少し驚いた。それからドンドン読み進めたが、さすが村上龍さん、割と理系的な用語が随所に登場するけれども、難解な表現を厭わない人であればストーリー自体はとても面白く、読み応えがあった。強いて言えば、個人的には終りが中途半端のような感じかもしれない(これ以上、ストーリーの内容には触れないでおきます)。
ストーリーはとても楽しめた半面、電子ブックとしての良さがほとんど活かされていなかったのはとても残念だった。挿絵は章の先頭にあるだけで後は全て文章のみ。時折流れる音楽も、内容と余り関係がなさそうで、しかも特定の部分に来たら唐突に流れ出す。マルチメディア・コンテンツという観点でも期待していただけに、動的コンテンツを入れるなど、もう少し工夫が出来たのではないかと思う。
あと、ストーリーや、マルチメディア・コンテンツといった事とは別に、電子デバイスであるiPadならではの読み方をした。それは、寝室の電気を消して、ベッドでごろりと横になり、iPadで読み進める、というもの。ブルーライトの影響で、目には決して良くないのだが、出来る・出来ない、といった話でいうと、紙の書物では出来ない芸当だ。
ただ、iPadは文庫本よりもかなり重いのは難点ではある。技術革新が進み、さらに軽いタブレットデバイスが登場することを待ちたいと思う。