フィリピンの経済発展の勢いは日本と比べて高く、パンデミック以前の2019年のフィリピンのGDPは約6.12%の増加を記録しています。この統計は同年の日本のGDPが、約0.2%の増加と比べると急速な成長と言えます。そんなフィリピンのIT産業の売上高は統計で263億ドルと、フィリピン経済にとって非常に重要な産業です。この売上高の約9割がなんと、海外からの売上だというのです。その内訳はソフトウェア開発・テスト・保守や、ITサービスなどの受託サービスが売上の中心となり、ITアウトソーシングと総称されたりもします。
そのような背景もあり、フィリピンは、日本向けのオフショア開発やITアウトソーシングの分野においても、ベトナム、ミャンマー、インドなどと並ぶアジア圏の一拠点となっています。
特に、オフショア開発やITアウトソーシングが盛んな、ベトナム・ミャンマー・インドネシアなどの東南アジア諸国の中でフィリピンが特出する点は、唯一の英語圏という点です。大学教育では英語が使われますが、そのような中でIT教育を受けた人材が豊富であるため、他国の作業者とのコミュニケーション能力も高いと言えます。
さらに、フィリピン国内の物価が安いことから、人件費の安さの面で競争力もあります。またフィリピンの国民性として、チームワークが良いという点も上げられると思います。プロジェクトなどの多人数での仕事ではこの特徴が非常に役立ちます。
反対にマイナスとなる点は、独自で考えて行動することが苦手で必ず管理するリーダーを必要とするところでしょうか。しかしながらこの問題は、持ち前のコミュニケーション能力の高さと、我々日本人の様な、比較的管理を得意とする人種とのコンビネーションで解決できます。
さらに、国内の平均年齢が24歳と若いことも利点で、新しいことへの適応能力が高く、新しいIT技術やプログラム言語、システムにも対応できます。グローバルな働き方にもポジティブなので、それらも成長の大きな要因となっています。
しかし、そういうフィリピンにも課題があります。それは、IT人材が豊富な一方で、IT業界に必要な技術力に対して日本人、もしくは日本語の教育が追いついていないことです。特に日系企業がフィリピンのオフショア開発企業に業務委託する際には、前記に記述のとおり日本人または日本語人材の管理者が必須となりますが、この人材が少ないことがあげられます。
ただ近年、日本人の英語習得率が向上していることや、英語でビジネスする人材も増えてきているので、この点については徐々に改善されていくでしょう。
弊社サイバーテックではこういったことに備え現地日本人スタッフを充実させることにも注力しています。
ここで注意すべき点は、フィリピンと日本、双方違う文化であるということを理解する必要があるということです。日本では一般的とされていることも、フィリピンのオフショアにそのまま適用してしまうと反感を買ってしまう場合もあります。こういったことについてはポイントを押さえれば解決できることが大半です。
例えば、日本では進捗の報告をこまめにすることが要求されます。
よくいわれている「報告・連絡・相談」がビジネスの基本とされています。しかしそういった常識は日本だけのものです。フィリピンでは最初と最後の報告くらいが一般的で、マネージメント側から要求しないと情報が伝わらないこともあります。日本ほどこまめな報告を要求すると、自分たちに信頼がないと反感を持たれてしまうこともあります。
しかし難しいことに、クライアントが日本の企業であり、進捗報告が必須である場合ではそうは行きません。そのためには、なぜそうしなければならないのかを充分に説明し、お互いが理解して状況にあった最善な方法を導き出す必要があります。これは品質や納期についても同じです。重要なことは、日本側から一方的に条件を押し通そうとしてはいけないという事です。
日本は、高い品質を維持するために、様々な状況にあわせて工夫し改善を重ねてきました。今こそその方法をアジア諸国に伝え、その場面にあった日本品質を実現していきましょう。
また、日本が抱えている問題としてあげられるのは、深刻な高齢化によって起きている労働人口の減少が様々な業種でみられる人材不足です。その影響はIT業界でも例外ではなく、非常に深刻な状況です。
しかし、フィリピンはそうではありません。彼らは貪欲に技術を学び、かつグローバルに活躍できる若手のエンジニアが次々に輩出されています。品質意識と長期視点には頼りなさがあるものの、その問題は日本人の管理体制でカバーすることにより、フィリピンと日本は、相互に補完できる存在であると感じます。
ご存知かもしれませんがフィリピンは親日的な国でもあり、日本もODAなど様々な支援活動を提供しています。このことからも、日本人とフィリピン人が一緒に仕事をする、フィリピンでのオフショア開発やITアウトソーシングの相性はとても良いと言えるでしょう。
フィリピンのIT業界は、アプリケーションの開発や運用保守、Web作成、簡単な記事コーディングなどのWeb運用補助業務、アプリケーションテスト、Eコマースやフィンテック、教育IT分野が強いと言われていますが、ネイティブレベルの英語力を有したフィリピンを中心に考えると、さらにこれらをグローバルに運用できます。
例えば、最初は日本国内向けの開発やITプロジェクトの案件をフィリピンのオフショア開発に委託することからスタートして、段階的にフィリピン人との作業がうまく連携できれば日本企業でありながらグローバル市場へ移行してビジネスを広げることも可能になります。
フィリピンでは、そのようなグローバル視点で考えた場合、高いポテンシャルを秘めたオフショア開発やITアウトソーシングが可能です。一度検討してみませんか?
ライター:KOIZUMI
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