中国 上海で開始したラボ型契約による開発プロジェクトでは、「オブジェクト指向を理解している」「C++をソースコードレベルで修正することができる」という条件でエンジニアをアサインしてもらいました。ただ、実際にプロジェクトを進めると、確かにコーディングスピードは速いメンバーがいたものの、すぐにスキルのばらつきが大きいということが分かりました。
海外でよくある話かもしれませんが、エンジニアやITオペレータに「〇〇ができる?」と聞くと、間違いなく「できる」という答えが返ってきます。現地のマネジメントにおいて、これをうのみにしていた事が問題でしたが、そもそも要求したスキルセットと実際のメンバーのスキルが合っているかどうか、という点において、疑問符がつきました。
この原因は、BPO・ITアウトソーシングサービスや、オフショアラボ提供会社が謳い文句とは反対に、メンバーのアサイン含めたマネジメント機能が十分ではなかったことにあると考えました。現地のエンジニアに支払われている給与は日本円で月給5万円程度でしたが、私達は一人月25万円で契約していましたので、しっかりマネジメントをしてもらわないと割があいません。しかも我々は中国語が分からないので、日本語がわかる中国人によるマネジメントに頼らざるをえません。
そもそも、そのような状況である背景として、言葉の問題は非常に大きかったと痛感しています。ローカル企業だけれども社長や上層部は日本語も話せるし、技術的にもしっかりとしており、信頼もできる方々でしたが、ブリッジ役もプロジェクトマネジメントも彼らが兼務していたため、その下のメンバーは日本語が全くわからない状況でした。社長は会社本来の業務で抜ける事も多々あり、大切な部分であるプロジェクトマネジメントがおろそかになる状況がうまれ、日本語が分かるブリッジという観点では、完全にボトルネックとなってしまっていました。
そのような状況においても、たとえば中国語で何とかコミュニケーションが取れれば、色々と指摘や軌道修正などが直接出来ます。しかしながら、言葉が通じない実際の現場では、ブリッジマネージャーを通してコミュニケーションを取る事しかできませんでした。
したがってマネージャが不在の時は、目の前に作業をしているエンジニアがいるにもかかわらず、指摘が出来ずに指をくわえて見ているだけ、という状況に陥りました。たとえカタコトでも通じればよかったのですが、残念ながら我々は全く中国語が分からず、エンジニア側も多少英語が出来ればなんとかコミュニケーションが取れたかもしれませんが、中国語しか分からないエンジニアばかりでしたので、プロジェクトマネジメントが機能していない、正確に言うと、機能しているのかどうか分からない状況に陥りました。
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