川村義肢株式会社は義肢装具業界のリーディングカンパニーとして、義肢や装具、車いす、リハビリテーション器具などの製造・販売を行っている。また、パシフィックサプライ株式会社は川村義肢グループで福祉機器や海外製品の輸入販売を行っている。
パシフィックサプライ株式会社では、マーケティング戦略の中核システムとして顧客向けに情報発信や機器販売などを行うための会員制Webサイトを運営している。今回は会員制Webサイトの運用保守をサイバーテックに委託することになった背景と委託後の効果についてお話を伺った。
Webソリューション導入事例
Web運用事例~会員制サイトの運用保守
川村義肢株式会社
パシフィックサプライ株式会社
会員制サイトの運用委託先の切り替えにより、通常の運用に加え、サイトの改修・改善といった保守開発までをスムーズに実現
背景
川村義肢株式会社は、創業者である川村一人が「身体障碍者にその時代の医学と工学の最高水準に合致する製品を提供すること」「義肢装具製作適合に従事する者に、それに相応しい待遇を与えること」という二つの志を掲げ、義肢という分野がまだ黎明期である1946年に創業した。その志を受け継ぎ、現在では、義肢・装具の製造販売、開発はもちろんのこと、動物用義肢、人工ボディ、住宅改修事業、居宅介護支援事業など幅広く手掛けている。さらに、社内見学会を積極的に実施するなど、外部への情報発信も積極的に実施している。
また、パシフィックサプライ株式会社は、川村義肢株式会社のグループ会社として、高品質な海外製品を輸入し、国内の臨床現場や顧客に提案、販売を行っている。そのため、顧客となる病院や福祉施設に向けて機器特性や活用方法などの情報を発信する会員制Webサイトとして「KAWAMURAプラチナクラブ」を運営し、Webサイトを活用した様々な情報発信や各種サービスを提供している。
パシフィックサプライ株式会社 取締役(兼)卸売事業部事業部長の北田氏は、Webサイト運用の背景について、「同サイトは現在、会員数は約2万名、会員も病院や福祉施設関係者など多岐に渡っています。自社で取り扱っている製品を知って頂くためにも、Web上での営業マーケティング戦略の中核となる、重要なサイトとなっています。」と語った。
課題
川村グループ 事業運営統括本部 新規事業開発推進部 参事の福山氏は当時抱えていた課題について以下のように語った。
「会員制Webサイト『KAWAMURAプラチナクラブ』は、元々PHPとMySQLをベースとしたスクラッチ開発で数年前にローンチしました。その後、開発を担当した会社にそのまま運用保守を依頼していましたが、弊社および運用保守会社で担当者の退職や異動があり、その間に発生したWebサイトの不具合や改善タスクが未完了のまま積みあがった状態になっていました。また、やり取りのレスポンスに時間が掛かるなどコミュニケーション面でも課題を抱えていた事もあり、会員制Webサイトの運用面だけではなく、保守開発自体も実施できるような会社に変更したいとの要望が社内から出てきていました」
このような事情から、会員制Webサイトの運用・保守開発を行うことが出来る新たな委託先を探すこととなり、業者の選定が進められることとなった。委託先選定にあたっての要件は以下の通りであった。
Webサイト運用業務を引継ぐための情報が揃っている、通常の委託先変更と異なり、様々な制約条件がある難易度の高い引継ぎ業務となるため、当初は委託先が見つからないのではないか、という懸念もある中、同社は当初Webサイトリニューアルコンペを検討した。ベンダー候補は、Webサイト検索の結果、上位表示された企業数社に問い合わせを行った。その後面談やヒアリングを行い、技術面がしっかりしており、かつコストパフォーマンスが高いベンダーという軸で評価をした結果、最終的に「KAWAMURAプラチナクラブ」サイトの運用保守を行うパートナーをサイバーテックに決定した。福山氏は委託先選定のポイントについて次のように語った。
「キーマンの退職により既存の保守会社から引き継ぎに必要な情報が十分に出てこないことが想定されていました。そのため、事前のすり合わせを密に行い、取得した情報の内容によって柔軟に対応を切り替えられることがポイントとなりました。サイバーテックは他社が開発したシステムの運用を引き継いで実施した経験と高い技術力がありました。運用・保守開発は、フィリピンのセブ島にサイバーテックが有する海外オフショア拠点『セブITアウトソーシングセンター』で行われるとの事でしたが、窓口は必ず日本人が担当するためコミュニケーションの問題は無く、調整はスムーズに進みました。さらに、契約自体は日本本社で実施しつつも、海外オフショアを活用することで予算を考慮しつつ柔軟に対応頂けることが決め手となり、保守をお願いすることにしました。」
引き継ぎ期間は当初2か月程度を想定していたが、期間内に必要なドキュメントや情報を用意することが難しく、資料をベースとした現システムのキャッチアップを行うという方針から、期間を3か月間に再設定した上で、サイバーテックによるソースコードレベルの調査解析を行うことで、確実に会員制Webサイトのシステムを把握するための時間を確保した。そのかわり、引き継ぎフェーズでは調査解析だけではなく、優先度の高い不具合改修タスクも一部並行して実施することで、従来から存在したWebサイトの運営に支障が出ていた部分の改修も進められた。結果的に、最初の3か月間はエンジニアの稼働を多めに確保することで、システムの引継ぎを完了させただけではなく、引継ぎ後に実施予定としていた優先順位の高い不具合箇所も一部修正することで、引継ぎ完了を待つことなく、会員制Webサイトの利便性は大いに向上した。
そして、調査解析および不具合の改修が一段落した段階で本格運用フェーズに移行したが、ソースコードレベルでの解析をしっかりと実施していたため、積み上がっていたタスクもスムーズに進めることができ、その後のWebサイト運用やWebシステムの保守開発も順調に進んでいる。
会員制Webサイトの運用・システム保守開発の移管が無事完了してからの状況について、福山氏は次のように語った。
「『KAWAMURAプラチナクラブ』は、開発後、大規模なアップデートは行わず、運用されているWebシステムであったため、サイバーテックへの移管当初は手探りでの運用となっていましたが、実際に運用・保守が始まってみると大きな問題は発生しませんでした。コミュニケーション面においても、タスクの依頼⇒仕様確認及び改修⇒テスト環境での確認⇒本番反映、といった一連の流れをスムーズに進めることができ、会員制Webサイトを継続的に改善しながら運用する体制を整えることができました。また、運用・保守の開始後、定常的な保守開発だけでなく、大きな機能改善を伴うような大型案件では、一時的にサイバーテック セブITアウトソーシングセンター側のエンジニア要員を追加するなどの柔軟な対応をして頂いた結果、突発的なプロジェクトに関しても予定通りのスケジュールで進めていただいています。」
今後の展開
会員制Webサイト「KAWAMURAプラチナクラブ」は現在もパシフィックサプライ株式会社にて積極的に運営されており、引き続きサイバーテック セブITアウトソーシングセンターのチームが技術面および日々のWebサイト運用支援を行っている。今後について北田氏は「細かな機能改善はもちろんですが、新たなサービスや事業を展開するうえで、弊社Webサイトはこれまで以上に重要な役割を担っていきます。そのためには、柔軟かつ迅速に、変化に対応できる体制を維持する必要があります。2024年に実施したサーバー基盤リプレースも無事完了し、現在も問題なく運用できています。サイバーテックには、今後も引き続きWeb戦略を技術面で支えて頂きたいと考えています。」と語る。
今後の「KAWAMURAプラチナクラブ」におけるコンテンツの充実、および会員数の増加に注目だ。
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