いま話題沸騰中の大河ドラマ「龍馬伝」
私も歴史は大好きなのだが、正直幕末より戦国時代が好き。
ただ、今回の「龍馬伝」を見てると、史実と異なるところは気になるが、それはさておき、幕末も面白いな・・・と改めて思うようになった。
坂本龍馬はご存知の通り「日本を今一度洗濯いたし申し候」の言葉通り、幕末を駆け抜けて数々の偉業を成しとげた。
ただ、よく話題になるのは、
「何のバックボーンも持たない坂本龍馬が、なぜあれだけのすごい人脈を築くことができたのか?」
ということが挙げられるのではなかろうか。
坂本龍馬はご存知の通り、普通の土佐藩士であり、特に何らかの要職に就いていたわけではない。しかも、土佐には上士と下士という身分制度があり、龍馬は下士なのでむしろ抑圧される側にあった。
ただ、商家の出である坂本家は比較的裕福であり、龍馬の強みでもあった。それゆえ、江戸に行き千葉道場で稽古に励みつつ、遊学中に様々な人と会い、人脈を形成してゆき、後の亀山社中~海援隊の結成や、薩長同盟の立役者になるなど、まさに驚異的な偉業を幕末に成し遂げてゆく。
そのベースとなるものが「人脈形成」であろう。一介の脱藩浪人が通常会えないような人物に龍馬は実際に幾度となく会っているが、その際用いた手法が「紹介」。時には「いもずる式」に、時にはキーマンを中心とした「スター式」に人脈を広げていったと考えられる。
たとえば、幾人もの紹介を経て、前福井藩主である松平春嶽にたどりつき、そこから勝海舟を紹介してもらい、そこから西郷隆盛を紹介してもらう、といった「いもずる式」で人脈を広げ、薩長同盟という偉業につながった。あるいは勝海舟から様々な要人を紹介してもらい、「スター式」に人脈を広げていったことは容易に想像ができる。
また、「人脈形成」もさることながら、龍馬自身の肩書きもめまぐるしく変わる。
元々下士だった龍馬は土佐勤王党に入るが、辞めた後は土佐藩を脱藩する。許されるも再び脱藩して、その後は亀山社中を設立し、今でいう社長に就任するなど、肩書きがころころと変わり、しかも既存の範囲では存在しない肩書きも登場する。おまけとして、土佐勤王党を率いる武市半平太と坂本龍馬は遠い親戚筋、という関係があったりもする。
ゆえに、人脈形成の途上でも龍馬の肩書きはころころと変わりながら、色々な人と出会ってゆくことになる。つまり、会う側からすると「会う度に肩書きが変わっている、面白い奴」という見られ方をしていたかもしれない。その上、現在で言う社長のような、当時は聞いたことのない肩書きまで登場するのだから・・・
しかも、龍馬の周囲には同様に肩書きがころころと変わる人たちが集まっていたわけで、プロフィール情報としては複雑さを増してゆく状態となる。
ここからはITの世界。
では、龍馬の生き様をコンピュータで再現するために、様々な体験を龍馬自身の視点でリアルタイムにデータベース化してゆくことを検討してみたいと思う。
データベース化をする場合、データベース管理ソフトウェアが必要となる。
一般的に使われるデータベース管理ソフトウェアとしては、表形式のRDB(リレーショナルデータベース)が存在する。このRDBでは、あらかじめデータの構造を定義しておき、表形式で管理するものであるが、RDBを使うと解決しにくい以下の難問が発生する。
◎当時の常識(藩)を超えたつながりで、しかも紹介ベースでどんどん人脈形成を行ってゆくため、実際のデータは表形式ではなく枝葉が分岐する「枝葉状のデータ構造」になる。表構造がベースのRDBではデータ構造の変換が必要となり、システム的に非常に複雑なものとなる。
◎龍馬本人はもとより、幕末という流動性の高い時期では肩書きがころころ変わる人が大勢いた。さらに、今まで想定されていなかった項目(藩のみではなく「亀山社中」や「海援隊」など)まで登場するため、想定外の項目追加が頻発する「非定型なデータ構造」となり、事前のデータ定義は不可能。従って、データ定義が必須であるRDBでは、人と会う度にシステムの修正が必要となってくる。
この「枝葉状のデータ構造」「非定型なデータ構造」というのがミソで、このようなデータを管理するのに適しているのがXML DB(XMLデータベース)である。
元々XML自体ツリー構造のデータフォーマットであり、XML DBを用いることで、システムの修正を行うことなく、項目追加をリアルタイムに行うことができる。つまり、XML DBは「枝葉状のデータ構造」「非定型なデータ構造」を管理するためのデータベース管理ソフトウェア、ということがいえる。
坂本龍馬のように激動の時代を駆け抜け、後世に名を残すような偉業を成し遂げるためには、現代企業においても、XML DBのような「柔軟性の高い」データベース管理ソフトウェアによる情報化を通して、「柔軟性の高い」発想により道を切り開いてゆくことが求められるに違いない。