震災直前の話なので1ヶ月ほど前の話になるが、東証で開催された「XBRL Japanシンポジウム」に参加してきた。その時の話を振り返りながら、1参加者として、私見も交えまとめてみた。
まずはじめに・・・
XBRL(eXtensible Business Reporting Language)というのは、各種財務報告用の情報を作成・流通・利用できるように標準化されたXMLベースの言語(※XBRL Japanのサイトから引用)であり、発祥は例のごとくUS。ただし、東証が積極的に導入を推進したので、普及率やそれに伴う豊富な応用例等の観点では、実はワールドワイドにおいて日本が先頭を走っていると言っても過言ではない、ITの業界においては珍しい領域である。
私は日銀の方のセッションから参加。そこでは、現在運用されている具体的な業務(金融機関からの日計表報告)について解説があった。
いくらXBRLが有用である、といっても、金融機関がそのまんまXBRLでデータを作成し、日銀まで提出するのは大変であるため、Excelを入力ツールとして運用している事例が紹介された。最新のExcelは、実は裏側のフォーマットとしてXML(OOXML)が使われている事自体は少しずつ知れ渡っているのだが、一番驚いたのは、ExcelとXMLのそれぞれ良いところを理解した上で、うまく実業務で使われている、ということ(具体的には、情報入力されたExcelが金融機関から提出され、日銀側でXBRL化し、利用)。
業務の運用方法まで踏み込んだ、かなり具体的な講演で驚いたとともに、果たして来場者のどれぐらいが理解しているのか?がとても気になったセッション。
引き続き、中国・イラク・USなどから来日されていた金融関係者によるパネルディスカッション。モデレータは日本人だが、英語で進行。同時通訳のトランシーバーを渡されたが、英語の勉強がてら、使わずに生で聴いた。モデレータが日本の方だったのも手伝ってか、割と聴きやすかったけれども、USの方の英語が一番早口で難しかった・・・(^^;
それはさておき、本題に戻ると、USを除き、みなさん日本を手本にしながら、自国に導入しようとされている、という話だった。ITの分野、特にソフトウェア分野に関しては、アジア圏ではほぼ全てと言っても良いほどUSや欧米の規格がけん引しているため、XBRLのように、日本がリードしているという現象は珍しく、日本人としては、とても嬉しい!
ただ、本家本元のUSではXBRLのNote部分等に独自仕様を検討中(?)らしく、早くも色々と先進的な取り組みを実施しているようで、ここはスピード競争になるか。。。
その後、XBRLの普及・啓蒙に役立つプロダクトやサービスの公募について結果報告と表彰式があった。最優秀賞はなんと慶応義塾大学の学生さん。壇上での説明はたどたどしかったが、XBRLのメリットや本質については概ね理解されており、ビジネスに接点がまだ無い学生さんなのに、よく知っていると思った。
最後に、XBRL関連のプロダクトを紹介するセッション。以下の企業がプレゼンテーションを行った。
・ゴーイング・ドットコム
・NTTデータ
・宝印刷
・日本オラクル
・日立ソリューションズ
・富士通
宝印刷の方が「有価証券報告書の内容全てがXBRL化されているわけではないが、H25年には全て対応するようになる」という話をされていたのが印象に残った。
あと、オラクルの方は「オラクルデータベース内ではRDBとXMLDBが両方存在するのではなく、RDBのひとつの型にXMLを格納する」と、きちんと説明されていた事には好感を持てた。ただし、その部分を「XMLDBである」と説明をしていたのは如何なものか、と思ったが。(-_-)
全体を通した私見としては、日本で大きな事例である「TDNet」「EDINet」がどこまでお互いに連携出来るかがキーになるのかな?ということと「XBRLは今もって進化中であり、そのために実装現場では苦労もある」ということが心に響いた。「新しいことにトライすると、苦労もあるが享受できるメリットも大きい」という、まさに「アーリーアダプタ」の価値観だから。
最後に・・・
「XBRLは高い正確性(開示内容がそのまま取得できる)・高い再利用性がメリット」という話が随所であったが、これらはまさにXMLをデータフォーマットとして使った場合の醍醐味であり、サイバーテックが推進する「集める・ためる・活用する」でも全く同じ事を言っている。
XBRL分野でのNeoCore導入事例は「マネースクウェア・ジャパン」様をはじめ、少しずつ広がっている。今後は日本主導の分野として、日本企業であるサイバーテックもどんどん貢献してゆければ、と心に誓った一日であった。
(おまけ)
過去に東証さんと対談をしたコンテンツは、こちら・・・
https://www.cybertech.co.jp/xml/contents/xmlxmldb/talk/special_200906.php