XMLデータベース 特別対談 XMLのキーマンに訊く「XBRL、企業での活用とその可能性」(1)

XMLデータベース 特別対談 XMLのキーマンに訊く「XBRL、企業での活用とその可能性」(1)

今回は2008年10月に開催されたXML及びXMLデータベース普及啓蒙のイベント「NeoCoreサミット2008」のパネルディスカッションに登壇頂いた、株式会社東京証券取引所(以下:東証)上場部の吉田氏に、XML形式を採用した財務報告用の国際標準化フォーマットである、「XBRL(eXtensible Business Reporting Language)」の現状と企業における活用の可能性、さらには将来像について伺った。

聞き手:株式会社サイバーテック 橋元 賢次

1.XBRLの現状

株式会社サイバーテック 橋元 賢次の写真

橋元:吉田様は、東証の中で今までXBRLの普及・啓発・導入を担当される立場でおられますが、金融業界や財務関係の業務に携わっていない方にとって、XBRLそのものやXBRLで用いられる用語をご存知ない方も多いと思いますがいかがでしょうか?

吉田氏:そうですね、確かに今はまだXBRLや「タクソノミ」、「インスタンス」といった専門用語自体、聞きなれない方も多いと思います。この辺りの基本的な情報は、XBRL Japanのホームページ(http://xbrl-jp.org/technology/index.html)にも掲載されていますが、まだ業界関係者以外には浸透していないかもしれません。

XBRLは、簡単に言いますと「財務関係の情報にバーコードのような印をつけて、システムがその情報の意味を理解し、簡単に再利用できるようにしたもの」と考えて頂くと良いと思います。金融業界以外でまだ認知度が高くない背景には、XBRLを作成し、活用している人が、東証のTDnet(http://www.tse.or.jp/market/service/tdnet/index.html)や金融庁のEDINET(http://info.edinet-fsa.go.jp/)に決算短信や有価証券報告書を提出している上場企業の担当者や、それを利用している、投資家、金融情報サービス企業などに限られているからです。

XBRLは、XML形式で記述された財務情報報告用の国際標準フォーマットです。こういったXML形式の業界標準規格は、新聞業界のNewsML、電子商取引分野におけるebXML、医療業界のMMLなど多数存在しており、「その業界の方しか知らないXML」なので、このような機会に是非様々な業界の方にも知って頂きたいと考えています。

橋元:私もXBRLについてはXMLデータベースを提供している関係上良く聞きます。ただ、XBRLの「タクソノミ」という用語は知っているのですが、その内容や仕様まで詳しく理解している方はさらに少ないのではないでしょうか?

株式会社東京証券取引所 吉田幸司氏の写真

吉田氏:安心して下さい。金融業界でXBRLに関わっている方々でも全員がXBRLの仕様について細部まで理解しているわけではありませんし、私自身そこまで詳しく理解する必要はないと考えています。例えば、「HTML」というWebブラウザで情報を表示するための規格がありますが、ツールを使えば自動的にHTMLが生成され、情報を閲覧する側もHTMLを知らなくてもブラウザの使い方さえ理解していれば情報を閲覧する事ができてしまう。XBRLもそのようなものではないでしょうか。

橋元:あまり身構えなくても良いということですね(笑)。それでは、XBRLの現在の普及状況について教えて下さい。

吉田氏:利用者サイドでは、上場企業に2008年の7月以降、決算情報のサマリー情報をXBRLで提出する事が義務付けられたことにより、情報が蓄積されていることを受けて、ロイターや日経新聞などの情報サービス企業やメディアによる配信が始まっています。これに伴い、少しずつ利用者は拡大しているといえます。ただ、所謂「第二利用者層」である証券会社の店頭やアナリスト、デイトレーダーの方々については、普及はまだまだこれからだと思います。

今後XBRLがもっと普及するためには、啓発活動を行っていくだけでなく、活用するためのツールの整備も必要で、ここをクリアしないとXBRLは、次のステージに行けないと考えています。

橋元:早く、XBRLが、電気や水のようなインフラの一つになり、皆が意識せずに使う「あって当たり前」の世界になれば良いですね。また、サイバーテックでは「XML everywhere」を掲げ、XMLが関連する様々なビジネスシーンにコミットしておりますので、我々も微力ながらそのお手伝いが出来ればと思います。

吉田氏:はい、宜しくお願い致します。

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