前回BPOに関するお話をしましたが、今回は実際にBPOを進めるにあたり、海外の働き方の特徴や品質など掘り下げてみたいと思います。
企業が海外ベンダーにBPOを検討する際、言語、文化や教育など、いろいろな環境が異なる国々で仕事をまかせて品質は保証できるのか不安になるのは当然のことです。この点だけについて答えるならば、「日本人の求める品質は保証できない」となります。生まれも育ちもまるで異なる人たちに同じものを求めること自体がまず間違っている、と。
セブの語学学校で少しばかり海外(フィリピン以外にも韓国、台湾、ベトナム、サウジアラビア)の人たちと働いてきて、海外の製品を使ってみて、海外のサイトを利用してみて思うことは、世間一般的にいわれているように日本人または日本製品は細かいところまで気づく、行き届いていると思います。海外の場合は乱暴な言い方になりますが、「動けばよい」です。そのほかのことは気にせず「動けば良い」のです。
※あくまで個人の感想です。海外製品にだってよいものはたくさんあります。ただその分開発スピードは段違いに海外の方が早い。日本の場合はあれもこれもと細かいところまで行き届きすぎているのでどうしても時間がかかってしまうこともよく言われていることです。
委託先の企業となる、海外オフショア拠点に在籍する社員の仕事に対する考え方も気になるところです。大雑把にいうと契約していること以外のことはやらない。言われなければやらないです。最近では日本人でもやらなくなってると聞きますが、「手が空いてるので何か手伝えることはありますか?」などとは聞いてこないです。いくら他人が忙しく、自分が暇だろうと言われてなければやらないのです。
いくつかの国籍の人と実際に働いてみましたが、日本人特有の暗黙の了解は海外では通用しません。何かしてほしいならしっかりと伝える必要があります。※伝えても自分の担当じゃないと断られる場合もあるけど・・・
BPO業務に限らず、日本資本の学校であっても、日本人が不在である拠点は、ローカル資本の企業と大差無いと思います。そもそも海外の方々の働き方は日本とは違いますので日本の品質を保つなら現地に在住している日本人が必要になると思います。
BPOとは少し離れますが、英会話スクールでの場合、日本人が経営する学校とは言え、一歩外にでればセブはセブならではの(日本人視点でみればこれはどうなの?と思う)働き方が至る所にあり、日本式の働き方は海外では「異質」です。
フィリピンも前述の例に漏れず同じようなものです。中にはしっかり仕事をする人もいるけど、何もなければ周りの目も気にせず仕事中であっても机に突っ伏してしまう従業員はいました。※もちろん注意して改善してもらいました
そういった場合は都度注意し、少しずつ改善していくしかないのです。
また叱ると拗ねるので(ほんとにすぐ落ち込みます)、改善するにも根気がいります。褒めて伸ばしてあげる方法がよいです。また、たまに差し入れをするのもとても喜ばれ、良い関係を築くよい方法です。
話がだいぶそれてしまいましたが、フィリピンにおいて、単純にBPOをしようと日本式のオペレーションスタイルを持ち込んでもうまくいかないと思います。日本人から見たらいろいろ思うところはあっても、「郷に入っては郷に従え」のとおり、その国のやり方に合わせる必要があります。これは一朝一夕にできるものではなく、長く現地に滞在し経験を積んでいくしかありません。
BPOをはじめ、海外へのアウトソーシングを考えるならば、日本側の人間だけではなく、現地で働く人が顧客の要望をしっかりと理解するのはもちろんのこと、どういう人間か(どれくらい長く住んでいるのか、現地の人をどれだけ理解しているのか)をチェックしてみることが、BPOや様々なアウトソーシング・オフショア開発などを成功に導く1つの重量な要素だと思います。
ライター:EIJI
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