株式会社マネースクウェア・ジャパン様
革新的な金融サービスのマネジメント業務を支える、XBRLとXMLデータベース「NeoCore」。取引データをXBRLに変換し「NeoCore」に格納、仕訳業務とマネジメント・レポート作成を自動化するシステムを構築。これにより今まで数週間かかっていた作業を日時で処理することが可能となった。
XBRLによる取引データの自動仕訳・報告書作成システム
株式会社マネースクウェア・ジャパン
取引データの仕訳・業務報告書作成業務をXBRLとXMLデータベース「NeoCore」を活用したシステムに移行。
経理・財務部門の大幅な業務効率化に成功。
背景
外国為替取引、外国為替オプション取引のマーケットメイキング業務・受託・取次・媒介業務から、外国為替業務に係わるコンサルティング業務を行う、株式会社マネースクウェア・ジャパン(以下、「マネースクウェア・ジャパン」)は、2002年の設立以来、FX(外国為替証拠金取引)のサービスを展開する上でリスクマネジメント体制の構築に力を注いでおり、顧客の資産を保全する信託保全サービス「トラスト アカウント プロテクションR」の導入や、「プライバシーマーク」の取得、さらには、社会的な信用と責任、社内管理体制の充実を目指し、2007年10月には、大阪証券取引所ニッポン・ニュー・マーケット「ヘラクレス」市場への上場を果たしている。
FXは、1998年の外為法改正によって誕生した金融商品で、最近は個人投資家を中心に浸透、2008年3月には、市場の総口座数が約120万口座という巨大マーケットへ成長した金融商品である。
マネースクウェア・ジャパンも業界最高レベルの信託保全サービスの導入やコンサルティングサービスの充実を図ることで、お客様の大切な財産の、マネーゲームではない長期投資としての資産運用を実現している。このような背景の中で、同社の経理・財務部門では「取引データ」「入出金データ」を仕訳し、会計システムに渡し、さらに手数料や売買指標の企業分析や経営戦略のための財務レポート(以下、「マネジメント・レポート」)を作成するといった業務を日々行っている。
システムの概要
同社の経理・財務部門では、「取引データ」「入出金データ」の仕訳とマネジメントに対するマネジメント・レポート作成はPCのクライアント・ソフトを使い、関数により計算・抽出を行っていた。しかし、この方法は以下の課題を抱えていた。
その結果、「データ件数が増加するに従いレポートの精度向上やスピードUPの要求に対応できなくなってしまい、マネジメント・レポートの作成と仕訳業務を合わせると、約半月の時間を要していた。」(マネースクウェア・ジャパン 業務管理部 松本 侑祐氏)
同社では、本業務の効率化を目的としたシステム化の検討を開始、XBRL(eXtensible Business Reporting Language)をベースにして取引データから財務データを自動的に仕訳、日次分析を可能にする「OneDayClosingSystem」の構築に着手した。
「OneDayClosingSystem」は、提携先企業のシステムに保存されている取引データの取り込みから始まる。
システムに取り込まれたデータは、XBRLコンバーターと呼ばれる機能により自動的にXBRL形式に変換され、財務諸表の雛形となる「タクソノミ」と、日々の収益や売買高などの金額が格納される「インスタンス」の形式でXMLデータベース「NeoCore」に格納される。
その後、仕訳用のサブシステムによって自動的に仕訳されたデータはcsv形式で毎日会計システムに渡される。
また、レポート作成用のサブシステムは、タクソノミを作成するXBRLツールやReportBuilder等のツールを併用しながら、毎日Excel形式のマネジメント・レポートを自動作成している。
XMLデータベースの採用理由について、このシステムの構築に携わったシステム事業部の長岡 哲生氏は、次のように語る。
「当時金融庁を中心にXBRLに関するパイロットプロジェクトが立ち上がるなど、財務情報の管理にXBRLを採用する企業が出始めていました。当然XBRLはXMLデータですから、これを格納するためのデータベースはXMLデータベースしかないと考えました。そのためRDBを使おうという意見は、当時出ませんでした。」
XMLデータベース導入の背景
XBRLのような「XML形式の文書」をデータとして再利用する場合、データベースに格納する必要がある。
但し、RDBは最初にデータ構造を厳密に定義しなければならないので、XMLの特長である柔軟性、拡張性を生かしたシステムにできない。
この点について、同社は構築段階で認識しており、XMLデータベース導入の決め手について次のように語った。
「RDBの導入に比べてとにかく楽でした。データ構造の設計はXBRL化した時点で既に完了しており、さらにインデックス設計、テーブルスペース作成など、専門家でないとできないデータベースの環境設定や複雑なチューニング作業も必要ありませんでした。」(システム事業部 チーフマネージャ 福田 将人氏)
さらに、福田氏はこう続ける。
「システム構築後にハードウェアの入れ替えを行った際も、旧ハードウェアの『NeoCore』からXMLデータをエクスポートし、新しいハードウェア上の『NeoCore』にインポートするだけでデータ移行が完了しました。RDBでは考えられない事です。」
システム開発後の効果
システムのプログラミングを行ったシステム事業部の鶴城 貴楠氏にアプリケーション開発者の立場から「NeoCore」の話を伺った。
鶴城氏はこのシステム開発当時、XMLデータベースを扱った事がなかったと言う。
「このシステムを設計したエンジニアがXMLの特性を生かしたフレームワークを作っていたので、その点では楽でした。XMLデータベースを使ったアプリケーション開発は経験がなく、試行錯誤の連続でしたが、『NeoCore』は、XMLデータをハンドリングするためのAPIとクエリ言語を理解するだけで済むため、エキスパートでなくても開発できると感じました。」
同システムでは、日次で仕訳やレポート出力を行っているため、商品の取引条件変更や取引通貨の追加、さらには現場から出される分析項目の追加変更要望に即座に応えなければいけない。
「NeoCore」は、このような現場の要望にも柔軟に対応できるため、サービスイン後のメンテナンス工数とコストを大幅に削減することが可能だ。インタビューの途中で、「あまりデータベースを運用しているという感覚がない」(鶴城氏)、といったコメントも飛び出した。
今後の展開
「OneDayClosingSystem」は、現在一次フェーズの実運用と並行で二次フェーズの開発が進行している。今後は、「蓄積された日次データを活用する」フェーズに入るという。
具体的には、1年前のデータとの比較表を作成する機能や、項目の推移をグラフ化する機能など、現状の帳票出力中心の機能から一歩先のシステムに進化させる予定だ。
日々激しく変化する金融マーケット。その中でマネースクウェア・ジャパンは、データベースを適材適所で活用する事で飛躍的な業務効率化を実現した。
今回のXMLデータベース「NeoCore」の導入は、より良いサービスを提供するために自社で実績のない新しいものであっても積極的に取り入れるという一貫した現場のプロジェクト、まさに同社の企業理念である「Challenge & Standard(挑戦と規律)」を実現した取組みであると言える。
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