富士電機ITセンター株式会社様
QMS管理システムに「NeoCore」を活用。頻繁に項目変更を必要とするISO基準文書データについて、XMLによる柔軟なデータ管理でメンテナンスにかかる手間とコストの大幅な削減に成功。
QMS管理システム(ISO文書)
富士電機ITセンター株式会社
QMS管理システムにNeoCoreを活用
ISO文書の頻繁な修正業務を大幅に簡素化
背景
富士電機ホールディングスの100%子会社として、1994年に設立された富士電機ITセンター株式会社(以下、FITC)。富士電機グループの多彩なノウハウをもとに情報SI事業をはじめ、ドキュメント事業、オフィスサービス事業を柱とし、システム構築からソフトウェア開発、広告、印刷、イベント企画、OA機器販売等、幅広く展開している。FITCではこの度、業務の効率化とさらなる品質向上を図るため、従来のRDBMS環境での社内文書管理システムを刷新し、XMLDB「NeoCore」を核としたQMS管理システムを構築した。
「当社では、以前からRDBMS環境で文書管理システムを運用していましたが、WordやExcelの書類をただファイリングしているだけで、全文検索などはできない状況でした。これでは社内リソースの詳細な管理や有効活用もできず、ISO9001認証取得を機に新システムの検討を始めました。そこで、これまでExcelで入力・文書管理していたISO基準の書類を、社内のイントラを使ってWeb上から入力してデータベースとして管理する方法に変更したのです」(FITC 溝口昌志氏)
そもそもISO基準の書類は、項目数も多く、仮にフォーマットを決めても運用後に各部署からの要望などで項目の追加・変更するケースが多いという。
「QMS文書については、その基本に"良くしていこう"という思想があります。ですから仮にプロジェクト管理の文書フォーマットが決まったとしても、それはあくまでもひな形といった位置付けでしかありません。実際に使ってみて、各部署からの意見をその都度取り入れて、項目を追加・変更しながら作成していくことになります。これらを管理していくためには、テーブル設定を必要とするRDBMSでは、とても不可能でした」(FITC 高橋美紀子氏)
こうした理由から、FITCは新システムの基本仕様を「XMLベース」とした。同社では、数年前からXML技術に注目しており、FITCの新たな技術戦略の一環としても意義があることだったという。
「当社にはまだXMLのノウハウがありませんでしたし、柔軟性と拡張性に富むXML技術を習得することで、将来的に我々のビジネスに生かせるのではないかと考えたわけです」(FITC 高橋氏)
さらにデータベースの選定条件として、「低コスト」で「新しい」ものということも重要な要素だった。これらの依頼を受け、構築を担当したのがドキュメント関連のXMLソリューションを数多く手掛ける株式会社エクスイズム(以下、エクスイズム)である。高橋氏から具体的な要件として提示されたのは、XMLデータ形式にすることで、①従来よりも効率的な文書管理、フォーマットの再利用、②進捗管理・台帳管理、③基幹システムとの連携、④RDBMSと同等の検索速度、が可能であることだった。これらの条件を満たすデータベースとしてエクスイズムが提案したのが、「NeoCore」だったのである。
システムの概要と効果
「データベースで最も重要となるのは、処理速度です。XMLデータベースでは、構造が自由に変更できるという性質上、RDBMSのように直接的に要素を抜き出すのではなく、指定された条件に当てはまるもの全ての中から探す処理となり、検索速度がデータ量や検索条件によって遅くなる場合があります。その点を補うため、"インデックス"というデータ構造の目次を作成しますが、従来のXMLデータベースは、このインデックスを作成する際に大掛かりな作業が発生していました。『NeoCore』では、データを格納するだけでインデックスが自動生成され(フルオートインデックス機能)、高速検索が実現します。この点が『NeoCore』採用の最大の理由です」(エクスイズム 徳江一義氏)
このフルオートインデックス機能は、「NeoCore」独自の特許技術DPP(Digital Pattern Processing)によるものである。まず、データの格納時にDPPがすべてのタグに対して、ユニークな形状のアイコンを生成する。さらに検索時には検索式(Query)を同じくDPPでアイコン化し、これらの2つのアイコンが数学的にマッチするため、インデックス領域を検索することなしに"超高速"な検索を実現できるのである。また、「Well Formed XML対応」「大規模データ対応」といった特性も「NeoCore」の大きな魅力であったと徳江氏は語る。運用段階でのシステムの再チューニングが発生しないといった安心感と安定感は、FITCに継続した満足を提供できるからだ。
開発にあたっては、FITCからもエンジニアをエクスイズムに派遣し、協同で進めていった。開発に携わったFITCの河辺氏は「NeoCore」の効果を次のように語る。
「提案段階では、XMLのタグがそのままデータベースに格納できることがなかなか実感できませんでしたが、実際に触ってみると、"データを入れて検索して引き出す"といった部分はRDBMSと同じですから、特に抵抗はなかったですね。ただ、文書フォーマットが変わった時は、RDBMSとの違いが歴然と出てきます。RDBMSの場合、いちいち構造を変えなければならず、莫大な時間とコストがかかってしまいます。『NeoCore』ならば、タグが増えるだけで、スキーマ定義が要りません。更新がかかっても柔軟に素早く対応できるため、とても満足しています」
さらに懸念された検索スピードに関しては、約10万件のデータについて事前検証した結果、納得のいくパフォーマンスが得られたという。
今後の展開
こうして導入された今回のQMS管理システムは、社内イントラ上で稼働し、ブラウザを通じて、プロジェクト管理文書に入力できるようになっている。Excelライクなインターフェースを実現したことにより、従来のExcelからの切り替えもスムーズで、特に社員教育の必要もなかったという。また類似案件の入力の手間を省くため、文書の複写機能も設けている。入力した情報はExcelにダウンロードすることができ、承認印の押印など、紙での運用も考慮した効率的な仕組みとなっている。今後は、このシステムをベースに全社的なデータの一元管理を視野に入れているという。
「設計仕様書や図面、画像、カタログやマニュアル、取扱説明書など、社内にあるさまざまなドキュメントをXMLで一元管理にして、例えば、それらをHTML化してWebで展開するといった有効活用ができればと考えています。そうすることで我々のビジネス拡大も期待できるはずです。」(FITC 溝口氏)
FITCが提供する新たな付加価値ソリューションに、「NeoCore」の柔軟性と拡張性が有効な役割を果たすに違いない。
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