データベース自動連携組版システム
ProDIX+Adobe InDesign連携商品
株式会社化学工業日報社
ProDIX+Adobe InDesign 連携ソリューションを活用し、組版作業の大幅な効率アップとDTPデータの一元管理を実現
背景
1935年の創立以来、黎明期から発展期、さらに国際化時代へ大きく変貌する化学工業およびその関連産業情報を報道し続けている化学工業日報社。
化学工業界の発展とともに歩む同社は、専門紙『化学工業日報』、英文週刊紙『Japan Chemical Week』などの定期刊行物を中心に、各種専門書の発行、さらに展示会/セミナー開催・産業視察団・マルチメデイア情報等の提供など、多角的に事業を展開している。
同社・出版部門では、組版作業のさらなる効率化を図るため、これまで新聞部門と共有していた編集システムを見直し、XML DB「NeoCore」を核としたDTPデータ管理システム「ProDIX+Adobe InDesign」を導入した。
その背景について、同社・情報システム室長の神田佳男氏は次のように語る。
「ちょうど旧システムのリースが終了し、新システムへの見直しが必要な時期に来ていました。新システムの基本方針としては、これまで別々だった編集・制作ワークフローを統合すること、さらにデータのメンテナンスを機動的に行えることが挙げられました。特に出版部門では、会社録や化学品録といったデータを中心とした大型の定期刊行物を手掛けています。いわゆる"データ本"で、一冊数千ページにわたる、これらの書籍をより効率的に作っていくためには、やはりデータのメンテナンス性は欠かせない課題でした。そこで、これらの解決策として、データベースによるDTPデータの一元管理システムの検討を始めたわけです」
新システムにおいては、データベースの選定は重要なファクターだった。
「インターネットの急速な普及によって、我々、出版界の競争力は非常に低下してきています。今後、書籍という枠に捉われていては太刀打ちできない。これからは書籍のデータをコンテンツのひとつと捉え、データの2次利用を積極的に考えていかなければなりません。そうした時、XMLの柔軟性と拡張性は非常に有効であると判断したのです」(化学工業日報社 出版・電子情報事業本部出版局 次長 木暮 民生 氏)
さらにフロントエンドとなるDTPソフトの選定においては、「オペレータのスキルの統一化、将来性のあるソフトウェアの採用」をテーマに掲げた。いくつかのソリューションを検討した同社は、一旦は某社が提案したAdobe FlameMakerをフロントに据えた、XML DB ソリューションに決定しかけた。
「ちょうどその時、ProDIXとAdobe InDesign、そして『NeoCore』をデータベースに使った自動組版のセミナーがあったのです。我々はDTPソフトとしてAdobe InDesignを希望していましたが、Adobe FrameMakerが提案された時点ではXML DBとの連携に問題があり、あきらめていました。それがAdobe InDesignとXML DBとの組み合わせのリアルタイム連携が実際に動いていたのです。出版物のDTPソフトを統一してスキルの標準化ができる。『これだ!』と思いましたね」(神田氏)
先に検討を進めていたソリューションでは、一つひとつの書籍の版面作成とXML DB連携 のため、個別にプログラム(EDD)を書かなければならず、自社内での対応が難しかった。
「NeoCore」をデータベースに据えたProDIX+Adobe InDesignならば、版面の作成やXMLデータのやり取りに個別の開発は不要で、自社内で解決できる。つまり、データベースと双方向にデータをやり取りしながら、個別版面を随時変更・調整できるメリットは大きかった。
システム概要と効果
ProDIXは、Adobe InDesignのプラグインとして機能するXML組版エンジンで、Adobe InDesign上でXMLを使ってテンプレートを自動生成したり、データの差し替えや保存が可能だ。レイアウトされたデータの更新を行うと、その変更箇所がそのままデータベース(「NeoCore」)に反映されるため、常にデータは最新の状態に保たれる。
同社が導入したこの新しいDTPデータ管理システムは、『化学工業会社録』の制作から稼動した。
開発を手掛けたプロフィールド社の北村昭典氏は次のように語る。
「従来の誌面の再現がテーマでしたので、課題は明確でした。対応するプラグインを作ってデモを繰り返しました。後は時間との戦いでした。約2,000ページにもおよぶ既存のDTPデータの移行に非常に苦労しましたね」
Adobe InDesign、「NeoCore」を知り尽くしたプロフィールドでなければ、迅速な対応は難しかったかもしれない。
本システム導入のメリットとして同社は「いつの間にかデータベースを構築できること」と語る。
「Adobe InDesign上で作ったものがそのままデータベースに組み込まれる。制作の人間としてはデータベースを触っている意識がなく、非常にやりやすいですね。RDBの場合、いちいち項目を設定しなければいけませんが、制作をやりながら、いつの間にかデータベースを構築できます」(化学工業日報社 出版・電子情報事業本部出版局 IT環境支援担当 部長 居倉亨氏)
「当初はその有難さがわからなかったですが、実際に『化学工業会社録』の制作に入ると、文字の大きさやフォントなど、データごとに構造がいろいろとあった。"スキーマ定義が不要"でデータの構造を意識せずにデータベースに格納できるのは非常に助かりましたね」(神田氏)
さらに書籍発行まで半年足らずという限られた時間の中で、極端に人的リソースを増やすことなく、期日までに無事完成できたことは非常に価値があったという。
今後の展開
「今回のシステムで、既に『化学工業会社録』と『化学商品』の2冊を発行しています。今後もデータの適性を見ながら、積極的に他の書籍についても活用していきたいですね」(化学工業日報社 出版・電子情報事業本部長 取締役 間嶋 房雄 氏)
今後の課題としては、まず編集履歴管理の実現を挙げる。ここは「NeoCore」の高速検索性能が十分に活かされるはずだ。「スキーマ定義不要」というメリットを生かすと、間違った構造・データが混入する可能性があるので、履歴を抽出・比較することにより、単純ミスなどと合わせてチェックできる。
また、データベース内の会社データや化学品データなどを日常的にメンテナンスしていくことで、今後の制作に掛かる労力も大幅に変わってくる。今回2冊の書籍を手掛けたことでオペレータの習熟度も上がった。同社では将来的には現在の半分の作業コストで書籍制作を実現することをめざしている。
さらに今後は、蓄積されたDTPデータを2次利用したデータベースビジネスも視野に入れているという。いわゆるワンソース・マルチユースで、「NeoCore」ならではの展開といえるだろう。
「CD-ROMやPDFといったオフラインデータの提供や、蓄積されたデータを元にしたデータベースの商品化が容易に可能です」(神田氏)
今後、化学工業日報社が展開する新しい出版ビジネスに「NeoCore」が果たす役割は大きく、今回のシステム導入は大きなアドバンテージとなると言えるだろう。
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