XMLデータベース(XML DB)の3大用途は「ドキュメント管理」「複雑なデータ・メタデータ・ビックデータの管理」「業界標準XMLデータの管理」です。
いずれの用途も、RDBで管理するには困難なデータ構造と特性を持っています。
ドキュメントの管理を考えた際に、紙による管理が一番オーソドックスな方法として考えられると思います。長所は、手軽に実施可能ですが、短所は、分量が増えるにつれ保管場所が必要となり、さらに検索性や再利用性も悪くなります。また、環境にも余りやさしくありません。
というわけで、現在はドキュメントを電子化して管理する方法が一般的ですが、ファイルを電子化し、検索エンジンで探すという方法が一番手軽に実現可能です。この方法は、PDF、Word、Excel等のデータを、Google等の検索エンジンを用いて探し出す方法です。長所は、電子化が手軽にできるということが挙げられますが、短所としては、似たような文書が増えると探しにくい・範囲検索や匿名検索がしにくい、といった問題や、再利用性に乏しい、ということが挙げられます。
そこで、今注目されているのが、再利用可能な構造化データに変換して、部品化して管理する方法です。これは、構造化データをいったんXMLデータ形式に変換し、専用データベース(XMLデータベース)により管理を行います。XML化が必要である、という大変さはありますが、長所としては、いちどXML化してしまえば、派生データが簡単に作成可能であることや、世代管理や履歴管理が簡単に可能となる、ということがあげられます。また、ワンソースマルチユースという、1つのマスタデータからいろいろな用途に流用が可能になる、ということがあげられます。多言語対応も簡単に対応可能です。
約款・契約書・マニュアル・規定集・カタログ・ISO文書・論文・医薬品添付文書・有価証券報告書など、文字情報が中心の、部品化することが可能な文書類はすべて当てはまります。このようなデータについて、ペーパレス化を考えている・データの再利用化を考えている、といった場合には、XML化したデータの格納先として、高速検索に強いXMLデータベースがピッタリです。
非常に多種類の商品を取り扱う企業、多品種少量生産を行っている企業は、複雑な製品(商品)データを効率的に管理する良い方法を常に求めています。
モーターを製造する企業の事例を紹介しましょう。この企業では、十数万点もの製品情報をWebカタログとして、インターネット上で公開、見積や注文を受け付けています。ところが、新製品が発売され、既存製品の仕様変更の頻度が増すにつれ、このWebカタログシステムの運用に問題が発生し始めたのです。
一つ目は、製品情報の変更に対してタイムリーに情報更新ができなくなった事、二つ目は、システムの運用を外注に任せていたため、製品追加の度にシステム改修費用(外注費用)が発生してしまった事です。そこで、このメーカーでは、この問題を解決するため、データベースを含めたシステムの見直しを決断しました。運用を外部委託から自社運用に切り替え、そのためにシステムを専門の技術者を必要としない、XMLデータベースを使った柔軟なアプリケーションへと再構築したのです。XMLデータベースが、複雑なデータの管理に優れている理由がご理解頂けたと思います。
製品スペック(仕様)、Excelで管理されているスペック表、複雑な部品の組合せ表、コンテンツ管理のログデータなど、複雑なデータの管理と共有化にXMLデータベースは威力を発揮します。これらをXMLデータベースで一元管理し、営業マンが見積を作成するシステムやWebサイトで代理店が数十万点の製品情報を素早く検索するWebカタログシステムに発展させた事例が数多く存在します。
皆さんの周りには、実は裏側がXMLで書かれているドキュメントや、XMLで標準化されているデータが数多く存在します。
例えば、企業のWebサイトで公開されている企業の財務諸表データ。これは上場企業がXMLデータで提出する事が義務化されています。また、エレクトロニクス製品に使われる部品データは、業界で決められた標準のXMLフォーマットで交換されています。さらに、旅行業界や医療業界、新聞業界、流通業界でも同様な標準規格のXMLデータによるデータ交換の取組が実用化されています。XMLは、業界内の異なる企業間のデータの交換を標準化し、システムの共通化、業務の効率化、コスト削減、サービス向上を実現したグローバルに認められた標準のデータフォーマットなのです。
企業内のシステムでこのXMLデータを受取る際に、XMLデータベースを利用する事で、従来のRDBで必要とされた「マッピング」作業を行う必要がなくなり、XMLデータを「そのまま」データベース化できます。つまり、ユーザがマッピングのための膨大なコストと手間を負担する必要がなくなるのです。さらにXMLデータベースに格納した後は、自社の基幹システムとの連携や、配信サーバにXMLデータを転送して外部との受発注に利用する事が容易にできるようになります。
EDIと呼ばれる企業間の電子商取引では、流通業(BMS)、製造業(Rosettanet)等での事例があります。業界標準規格としては、XBRL(財務諸表)、NewsML(ニュース配信)、TravelXML(旅行商品の取引)、MML(医療機関の電子カルテシステム間でのデータ交換)、GIS(地図情報)等での利用が代表的な例です。
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