橋元:今後のXBRLの普及拡大のポイントは、先程から話題に出ている通り、用途の開拓だと思いますが、遠い将来の事でも結構ですので、XBRLがこういう形で使われたら凄いな、と考えている事はありますか?
吉田氏:比較的近い将来の事を申しますと、現在、世界的に会計基準が国際財務報告基準(IFRS)へ収束が進む中で、IFRSのXBRLタクソノミが開発されています。グローバルに事業を展開する企業は、近い将来、会計基準がIFRSに統一され、連結対象子会社との財務情報のやり取りをXBRLベースで行う日が訪れるのではないでしょうか。なお、現在、我が国の会計基準としてIFRSを適用することの議論が進んでいますので、これは日本国内で事業を展開している企業にとっても無視できる事実ではありません。
橋元:確かにIFRSへ統一しようという動きはよく聞きますので、そうなるとXBRLはさらに便利なものになってきますね。ちなみに、上場企業だけでなく、非上場企業に対してもXBRLの普及を拡大させるためには、今後どのような啓蒙活動をすればよいでしょうか。
吉田氏:海外の投資家に対してXBRLで情報を提供していると、海外の金融機関からの融資金利が下がる、といったような「インセンティブ」が無いと、中々企業側も動きにくいような気がします。今の状況を変えるということは、それなりにコストがかかるということですから、それなりのインセンティブが無いと急激に普及させることは難しいと思います。
橋元:インセンティブですか、欧米的な発想で面白いですね。
吉田氏:欧米だけでなく、これからは日本企業も実益が無いと活用してくれないと思います。XBRLで財務情報を公開するとその企業の評価や評点が上がるというような事になれば、企業も積極的にXBRLを活用するでしょうし、信用度の向上につながると思います。さらにそのデータを迅速に、かつ継続的に公開し、自由に取得できるような仕組みを提供するようになればその企業の信頼度は格段に上がります。企業も、コスト削減だけでなくこういった面でのメリットがあればどんどん採用して頂けるようになると期待しています。
橋元:もっと遠い将来のXBRL像について語って頂けますでしょうか。理想でも結構です。
吉田氏:今のXBRLは、企業の財務情報に限られていますが、さらに拡大してコーポレートアクションなどの「非財務情報のXBRL化」が出来ると面白いのではという話もあります。企業の情報の中で数値化されていない情報をXBRL化するという動きです。これは将来XBRLがもっと企業の中まで浸透するためには必要になってくると思われますし、そうなった時には今のXBRLとは違った「XMLベースのXBRLチックなコンテンツ」として広がるのではないかと考えています。実際に「企業の強み」や、「人的リソース」、「企業が持つノウハウ」といった非財務情報をどう評価し、定量化するかといったテーマは、研究会レベルで話が進んでいます。
我々にとっても、XBRLが違う形で広まるというのは喜ばしいことですし、企業にとっても財務情報以外の指標(例えば「人間力」など)を投資家にもっと評価してほしいと願っているはずです。将来このような取組が進めば、投資家は企業としてポテンシャルのある、「投資すべきところに投資できる」といった良い流れが出来るのではないかと思います。
橋元:今回の対談で、私自身XBRLに対する理解が深まっただけでなく、企業価値の向上にもつながるような非常に有意義なお話を伺う事ができました。また、XBRLの普及がXMLやXMLデータベースの普及拡大にも大きく影響する事が分かりました。「XML everywhere」を掲げている我々も、企業でXBRLが活用できるよう様々な形でご協力させて頂こうと思います。本日はお忙しい所、誠に有難うございました。
吉田氏:こちらこそ、有難うございました。
御相談、ご質問はこちら |
サービスご案内資料や、特別資料「マニュアル作成の効率化とコストダウンを実現するポイントとは? 」がダウンロードできます。 |
最新事例の公開情報や、イベント・セミナー情報をお届けします。 |