営業・企画職のためのXMLレシピ 第10回:新聞・フリーペーパーはWebへの展開が重要に

XML/XML DBのサイバーテック:連載コラム/営業・企画職のためのXMLレシピ

2011年8月11日
クロスメディア開発部 部長 小野 雅史

新聞やフリーペーパーなど、メディアと呼ばれる分野では、最新の情報を紙で届ける以外に、Webサイトやtwitterなどのソーシャルメディアと連動させる動きが一般的になっています。コンテンツ管理の観点からすると、ニュースや記事コンテンツをデータベースで一元管理し、それを組版システムとWeb-CMSに展開する「ワンソース・マルチユース」のシステムが必要不可欠なものになるでしょう。

「Webファースト」という考え方

ニュース、記事コンテンツをデータベース化するに当たり、入稿システムを含む紙面作成の制作フロー全体を管理するシステムを構築する必要があります。しかし、既存のデータ入稿・編集・プリプレス・印刷工程の変更は、現場の記事執筆者へ編集者にとってインパクトが大きく、現場のフローを改善するための説得と周知には、時間とコスト(加えて推進者の調整のための労力)が必要です。

そこで、紙面作成の入稿や編集、組版部分のシステム化ではなく、Webサイト側を先にシステム化(CMS化)してしまいましょう、という考え方である「Webファースト」の概念を採用する企業が増えています。

Webファーストのメリット

  • 紙面制作に比べてシステム化を早く安くできる。
  • 利用者に対する情報発信の即時化、Webメンテナンスコストの削減などの効果が見えやすい。
  • Web-CMS側でコンテン構造やメタデータを蓄積する事で、紙面制作側のコンテンツデータベースが設計しやすくなる。

Webをベースにした、コンテンツの戦略的活用を提案している方には当たり前の話かもしれませんが、印刷や出版関連の業界ではこの「Webファースト」の概念は、まだまだ浸透しているとは言えません。

ニュース記事の外部提供や記事の個別販売にはコンテンツのDB化は必須

新聞と言っても全国紙だけではなく、専門分野や業界、さらには地域単位に発行している新聞が数多くあります。フリーペーパーは、紙面広告を収入源としたビジネスモデルから、ソーシャルメディアを組み込んだWebサイトの構築や運営、Web広告やアフリエイトなどを収入源にするなど、ビジネスモデル自体も多様化してきています。

発行部数や発行頻度、Webサイトの内容によっては、少人数の編集者が紙面制作と同時にWebコンテンツの編集を完了してしまう場合がありますので、全てにデータベース化が必要という事はありません。しかし、バックナンバーの検索サービスや他メディアへのニュースコンテンツの配信(切り売り販売)のビジネスモデルを実現させようとした場合に、DTPデータとHTMLデータだけで大丈夫でしょうか?

私たちは、最近新聞やフリーペーパーを発行されている企業様に、「制作側の観点(制作効率の向上)だけではなく、コンテンツを収益や価値向上に変える仕組み(売上UP 、読者層の拡大や囲い込み)を実現させるためのデータベース化、コンテンツのマルチユース化を検討する事が重要」という事を訴えています。

ニュース記事と記事のメタデータは、拡張性の高いXMLフォーマットが最適

ニュース記事や記事を管理するためのメタデータをどのような形式で保存すると良いのでしょうか?コンテンツの一元管理に、XMLを形式を採用したお客様の声を以下にまとめてみましたので参考にして下さい。

  • XMLは汎用データフォーマットなので様々なメディア(紙、Web)に変換しやすい。
  • XMLは、記事メタデータの管理のように拡張性を求められるデータの管理に最適である。
  • 組版システムとの連携を視野に入れた場合に、組版システム側からもXML連携が最適であった。
  • 複数の印刷会社、制作会社からデータ提供を受ける際にもアプリケーションに依存しないXMLが良かった。

先進事例の研究と、パイロットプロジェクトによるスタートを

プロジェクトの進め方として、紙面制作のシステム化と、データベース管理、Web展開の3つを同時進行で進めることも可能です。この進め方には、全社プロジェクトとして推進者をたて、経営人と現場の橋渡しを行いながら、自らシステムの要件定義やプロジェクト管理を行う必要があります。しかし、このような体制が組める企業がすべてではありません。

プロジェクト期間も最低1年は必要です。そこで、実業務を行いながらプロジェクトを進めるには、ある一つの媒体に絞って、(1)Webサイト立ち上げ (2)CMS導入 (3)コンテンツ運用のWeb管理のサイクルを立ち上げ、その後他の媒体に社内横展開する方法をお勧めします。Web側の個別プロジェクトが上手く回り成果が上がれば、「次はこれらをXML使ってデータベース化しよう」という流れが自然にできてくるはずです。

現場の業務プロセスの改善はすぐにできるものではありません。コンテンツ・データベースの構築も同様です。小さくてもいいので社内プロジェクトを立ち上げ、「できるところから始める」。それが重要ではないかと思います。

先行事例の紹介

地域情報誌のコンテンツデータベース化事例
https://www.cybertech.co.jp/xml/casestudy/publish/pu08/

定期刊行物向けコンテンツ管理システム
https://www.cybertech.co.jp/xml/casestudy/publish/pu01/

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