今週、東京ビッグサイトで「東京国際ブックフェア」「国際電子出版EXPO」が開催されます。電子書籍に関する技術やサービスなどの最新動向をキャッチアップする良い機会なので、時間があれば実際にこの目で見て情報収集したいと思います。
昨年の「国際電子出版EXPO」では、実用レベルで使える電子書籍向けの制作ツールやソリューションが数多く出展されており、コンテンツホルダーが電子出版を活用する基盤がかなり整った、という印象でした。一昨年の「電子書籍ブーム」とは一味違う内容でした。個人的には電子書籍の制作ツールやソリューションについては、使いやすさや細かい機能の話より、コンテンツ全体を効率良く管理、再利用、配信できるプラットフォームやサービスに注目しています。また、電子出版のビジネスモデルについては、B2CだけでなくB2Bでの事例に期待しています。企業内の部門や従業員が個別に購入している、海外の専門書籍や技術書など、書店で販売されていないような書籍や出版物を一括して閲覧、購入できるようなB2B向けのサービスもありなのではないかと思います。
同時にコンテンツホルダーとしての出版社内のコンテンツ管理の仕組みについてもまだまだ事例が少ないようですね。出版企画、制作・著作権管理、販売管理システムとの連携など制作だけでなく業務そのものの効率化に着目するとまだまだ改善する余地はあると思います。従来までの取次・書店経由の販売だけでなく、海外マーケットや電子書籍の販売ポータルサイトを前提とした販売流通には社内業務システムと書誌情報とコンテンツを管理するシステムは必須ではないでしょうか。
会期 | 2012年7月4日(水)~ 7月6日(金) |
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会場 | 東京ビッグサイト http://www.ebooks-expo.jp/ |
書誌情報に関しては、ONIX(ONIX for Books)という、世界的な出版業界のEDI(電子データ交換)標準規格があり、日本では「JPO近刊情報センター」が出版社と書店間の新刊情報に関する書誌データのデータベース化とシステム運営を行っています。ONIX(ONIX for Books)でやり取りされるデータには以下の情報が含まれています。
(出典:JPO 近刊情報センター Webサイト)
電子出版というと、雑誌・小説・コミック・専門書籍が話題に取り上げられることが多いのですが、ニーズとして学校や塾、通信教育などで使われる教科書や学習参考書も決して見逃してはならない分野です。デジタル教科書は、小学校から高校大学まで今後急速に普及する事が予想されます。それに伴い塾や通信教育サービスもデジタルコンテンツを有効に活用した教育サービスを既に展開しています。電子化された教科書や教材は、単に様々なデバイスで閲覧できるだけでなく、難易度別に問題を組み合わせたり、生徒個々のレベルにあわせた問題を選択出来たり、類似問題を簡単に検索できたり、と電子コンテンツならではの使い方ができます。
実は、このような問題の使い回しや再利用をするには、現在非常に手間と人手がかかっているのが現実です。その理由は、どんな出力媒体にも対応できる汎用的なデータフォーマットで管理されていないからです。具体的には、紙の出版物はInDesignで作成、デジタル教科書は Flashの開発環境で制作、WebはWeb制作ツールで制作する、といった具合です。このような現場が使いやすい開発環境で制作されたコンテンツを汎用的な形式(XML)にしてデータベース化すれば、もっと効率良く、少ない人手とコストでコンテンツの再利用ができると確信しています。
昨年までは、「国際電子出版EXPO」の同時開催で「教育ITソリューション展EXPO」が開催されていましたが、今年は規模を拡大し5月16日に開催されました。教育とITの中でも特にデジタル教科書や電子教材は引き続き注目していきたい分野です。
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