XMLデータをそのまま格納出来るXMLデータベース。今回はその用途について改めて考えてみましょう。
XMLデータベースの用途として最も適しているのが、構造化されたドキュメントの管理です。これはXMLというデータフォーマットの前身であるSGMLが、航空機などのマニュアルなどの構造化ドキュメントの属性情報を記述する目的で策定されたことに関係します。
構造化されたドキュメントの代表例は製品やサービス・マニュアルです。但し、イラストや写真を多用し見やすさ・分かりやすさを重視した一般消費者向けの民生品のマニュアル(取扱説明書)ではなく、製品の仕様やスペックや保守手順など、テキスト情報と図表が混在した工業製品や保守サービス・マニュアルを指します。より具体的な利用イメージを以下に列挙しました。
1. 組み立て加工製品メーカーの製品組み立て・保守マニュアル
工場やビルの設備として納入されるポンプを製造するメーカーの組み立て手順マニュアルや保守サービスを担当するサービスマンが現場で保守作業を行う際のマニュアルは、製品のスペックや性能を細かく記載する必要があります。さらにシリーズ化された製品はシリーズ共通部分の仕様と型名毎の個別仕様が存在するため、マニュアルを作成する上でこれらを効率良く管理する必要があります。
2. 1製品で数千ページ。とにかくボリュームが多い工作機械などのマニュアル
工作機械や半導体製造装置など、1装置あたりのマニュアル冊数が多く、1冊あたりのページ数も数百ページにのぼるものがあります。このような製品マニュアルは、文書構造が複雑である以外に、制作のワークフローが複雑である事が特長です。メーカーの設計者が執筆した原稿をテクニカルライターが表現や単語の統一を行い、最後にDTPオペレータが紙面レイアウトに割り付けします。しかし当然制作過程で内容の改変が行われ、執筆者とライター・DTP担当者間で何度もやりとりが発生するため、データ管理を含めたシステム化が制作効率化とコストダウンのポイントとなります。
XMLは、ドキュメント構造が比較的シンプルなものであっても紙マニュアルと同時にWebサイトへの情報公開を必要とするドキュメントや、製品そのものにも組み込まれる電子マニュアルのような、いわゆる「使い回し系ドキュメント」のデータ管理にも向いています。
3. 電子マニュアルのみが主流に。携帯電話やスマートフォンのユーザ・マニュアル
携帯電話、スマートフォン、電子辞書などのマニュアルが紙から電子になったのは皆様もご存じの事でしょう。しかし実際は紙マニュアルがなくなったわけではなく、WEBサイトのコンテンツとして公開されるため、制作現場は紙マニュアルと電子マニュアルを同時に制作しなければいけません。制作管理では、制作プロセスを変えるだけではなく、従来のファイルによる管理からデータベースによるデータの一元管理への移行が始まっています。
4. 出版社のビジネスモデルを変える? 学習参考書や専門書籍の電子化
書店で販売される学習参考書、塾などで使われるテキスト、小中学校で使われる検定教科書、法律や人事、医療従事者など実務者向けの専門書籍などは、マニュアル以外の分野で最もXMLデータベースの導入効果が高いと言われている分野です。これらのドキュメントは「ドキュメントがある程度決まった構造をもつ」「Web/電子書籍などへ使い回しされる」「企画・編集・制作・出力など多くの人がチーム編成で制作するスタイル」という特長があります。
その他にも、大学や企業、官公庁の研究機関が保有する研究用論文や、医薬品の成分や効能、副作用情報を記載した添付文書、生命保険の約款などもこれら構造化ドキュメントのカテゴリに入ります。これらのドキュメントは「制作過程で版数の管理を行う必要性がある」「改版が頻繁に発生する」という制作管理上の要件があるため、人手による制作からデータ管理を含めた制作のシステム化が行われている分野であり、XMLデータベースはこの分野で多くの企業や研究機関で利用されています。
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